慢性的な人手不足に悩まされる介護現場では、短時間でも介護現場に関われる人材を確保する試みに力を入れています。業務を細分化し、業務の一部だけに従事する人材を現場に投入するシステムを採用しているのです。主なものとして、従来介護職員が担当していた食事の配膳や入浴などを専門とする職員を別途雇用する事例が挙げられます。こうした短時間勤務のスタッフは、その他の業務に一切関わりません。特に、排泄など利用者との人間関係が確立していないと施しにくい介助については、常勤の介護職員が担当するのです。

セラピーについても、その重要性が注目され、専門的なスキルを身につけたセラピストの参入が望まれるようになりました。介護現場では、孤独や環境不適応によって悩みを抱える利用者が多く、メンタルケアが欠かせません。メンタルケアとしては、利用者の悩み相談に応じる方法がありますが、それだけでは足りないため、セラピーを導入する介護施設が増えています。しかし、食事や移動から入浴や排泄まで介助を行う介護スタッフに、セラピーまで求めるのは負担が大きいと言えるでしょう。そこで、様々なセラピーの専門家が短時間勤務職員として介護現場に関わるようになったのです。

介護現場に求められるセラピーは、動物と接するアニマルセラピーや音楽療法など、様々な種類があり、それぞれ専門家が活躍しています。セラピストでなくても、美容の技術があれば、メイクセラピーに貢献できるでしょう。いろいろな人と接すると、良質の刺激を受けた利用者の脳が活性化し、認知症予防の効果も期待できます。今後も介護現場のセラピーの需要は、ますます高まってくるといえるでしょう。